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光生物学刊行案内

 

日本光生物学協会刊行案内
 シリーズ「光が拓く生命科学」共立出版
                 企画の趣旨

 生命は地球上に誕生して以来、母なる太陽の光により育まれてきた。生物は生命を維持していくためのエネルギー源として、また適切な生育環境を得るための情報源として光をもちいてきた。光生物学はこうした光と生命とのかかわりを理解することを目指した学問である。植物の光合成、動物の視覚などがその代表例であるが、生物と光とのかかわりはもっと多様であることが明らかとなってきた。植物は光を信号として利用し発芽、形態形成を調節している。動物は眼だけでなく脳や皮膚で光信号を受け取り、生体リズムを調整している。生物の進化にも光が深くかかわっている。進化の頂点にたつヒトがフロンなどの新化学物質を作り出したことで地球のオゾン層が破壊され、生物に深刻な紫外線傷害を与えている。光は一方、癌や心の治療など多くの医学治療の有力な手段として注目されている。光生物学ではこうした「光によりひきおこされる生物現象」だけでなく「光による生命現象の解明」に新しい展開がみられようとしている。超微弱光の検出法の開発や、太陽光をはるかに越える高輝度光源の出現により、生命現象の秘密のベールが光科学的手法により一枚一枚はがされようとしている。光生物学は「光が拓く生命科学」を先導する役割を担っている。
 光と生命のかかわり合いは、既成の多くの学問ーー植物学、植物生理学、光合成、農芸化学、動物学、比較生理生化学、光医学、放射線影響学、眼科学研究、化学、光化学、生化学、生物物理学、・・・ーーにより進められてきた。このことから光生物学は既成の学問の枠を超えた学際領域であることが分かるであろう。新しい科学の分野の発展期は、こうした学際領域から発信されることを認識されたわが国の光生物学の先達が、上記の学問分野の学会・研究会を会員として設立したのが日本光生物学協会(1982年設立)である。日本光生物学協会は国際光生物学協会との対応以外に国際会議・シンポジュウムの開催や啓蒙活動を行っている。本シリーズの刊行は日本光生物
学協会の啓蒙活動の一環である。
 光生物学が新しい発展を迎えている今、次代を担う若い世代に光生物学の重要性と面白さをわかりやすく伝え、新しい世紀の生命科学の旗手になって貰いたいという願いをこめて本シリーズは企画された。同時に一般の読者にも読んでいただけるように分かり易く、関連・周辺の研究者にとっても読みごたえのある解説書と欲張った内容を意図している。

                        日本光生物学協会会長

シリーズ/光が拓く生命科学
(日本光生物学協会編集・共立出版発行) 

第1巻 生物の光環境センサー
担当編集委員:津田基之
A5判・180頁・2色刷・3200円

生命は光とともにある。生物は地球に誕生して以来、生命を維持していくためのエネルギー源として、あるいは適切な生育環境の情報源として光を用いてきた。最近の研究によれば、生命と光とのかかわりは、私たちが考えている以上に多岐に渡っていることが明らかになってきた。本巻ではこうした光と生命とのかかわりの中で、生物が光環境からの情報を受け取る仕組みに焦点を絞って解説。

  [目次]

第1章 見る
1-1 昼と夜での見る仕組みの違い………今井啓雄・七田芳則
1-2 色はどのようにして見えるのか………大塚輝彌
1-3 植物の光センサー………長谷あきら
第2章 体で感じる光
2-1 脳内光受容体とその役割………深田吉孝・吉川朋子
2-2 体色変化と光センサー………宮下洋子・森谷常生
第3章 生物時計は光でスイッチオン
3-1 植物の生物時計………中島秀明
3-2 動物の概日時計………富岡憲治
3-3 動物はどのように季節を知るか………大石 正
第4章 光と生物の行動
4-1 視物質をもつ微生物の光行動………高橋哲郎
4-2 暗闇に棲む生物の光交信………大場信義
4-3 アゲハの交尾器光センサー………蟻川謙太郎

第2巻 光環境と生物の進化
担当編集委員:大石 正・小野高明
A5判・192頁・2色刷・3400円

地球生命の進化は「光」というキーワード抜きには語ることができない.現在では光とは直接関係ないように見える事柄も,進化を遡ると意外にも光と密接に関わっている場合がある.また,オゾン層の破壊も,生命進化という観点から見ることによりはじめて問題の重要性が明らかとなる.光環境の変化はまた,生物進化の結果でもあり,変化した環境によりさらなる進化がひき起こされてきた.本書では「光」を合い言葉に生命の進化が語られる.そこでは,光合成生物の共生が繰り返されるダイナミックな進化のドラマが展開する一方,視物質レチナールと情報処理機構としての脳の進化に支えられた,光情報処理の精緻なメカニズムを目にすることになる.さらに進化の結果,光環境を自ら演出できるようになった生物発光の世界も垣間見る.

  [目次]
第1章 地球の光環境史
1-1 地球の光環境と太陽………中島映至
1-2 オゾン層の形成と紫外線………中根英昭
1-3 地球生態系と光環境………清水 勇
第2章 光環境と生物の進化
2-1 光合成生物の起源とその進化………伊藤 繁
2-2 昆虫の進化とレチナール………関 隆晴
第3章 光環境と分子進化
3-1 視物質と分子進化………徳永史生・小林優子
3-2 葉緑体の起源と進化………黒岩常祥
3-3 生物発光の多様性とその進化的考察………近江谷克裕
第4章 光環境の光情報処理機構の進化
4-1 光シグナル伝達の多様性と進化………津田基之
4-2 眼と脳の進化………三上章允
4-3 霊長類の進化………相見 満

第3巻 生命を支える光
担当編集委員:佐藤公行・和田正三
A5判・216頁・2色刷・3800円

太陽系の惑星の一つである地球上の"生命"は,母なる太陽からもたらされる"光"と本質的なかかわり合いを持っている.その一つの局面は,光合成に代表されるエネルギー源としての光の利用である.一方,生命は情報源としても太陽の光を多面的に利用していることがよく知られている.それら生命としての営みや光合成の効率は,直接的または間接的に,光によりコントロールされている.本書では,これらの分野での最近の研究成果のエッセンスをとりまとめた.またグローバルな視点から,地球温暖化など地球環境変化の地球生態系への影響や,究極の化学反応といわれる人工的光合成の実現の可能性などについて論じている.

  [目次]

序 章 生命は光から,そして光とともに………佐藤公行・和田正三
第1章 光を求めて
1-1 光で目をさます―光発芽………篠村知子
1-2 光によるかたち作り―光形態形成………和田正三
1-3 光を求めて曲がる―光屈性………飯野盛利
第2章 光の捕獲とエネルギー変換―もっと光を
2-1 光を捕らえる―アンテナ色素系………田中 歩
2-2 光を電子の流れに―光化学反応中心における光エネルギーの変換………佐藤公行
2-3 光をプロトンの流れに―バクテリオロドプシンにおけるエネルギー変換………神山 勉
第3章 光を糧に―光合成のメカニズム
3-1 偉大なる副産物"酸素"―光合成における酸素発生………小野高明
3-2 光合成と呼吸に共通する反応の仕組み―電子伝達とプロトン輸送………吉川信也
3-3 無機物から有機物へのリサイクル―光合成における炭素・窒素・硫黄の同化………小俣達男
第4章 光を人類のために―グローバル光合成
4-1 サテライトから見る地球の生態系………秋山 侃
4-2 公害なき化学工場………大須賀篤弘
4-3 地球温暖化と光合成………及川武久

第4巻 生物の光障害とその防御機構
担当編集委員:市橋正光・佐々木政子
A5判・200頁・2色刷・本体3600円

生物は太陽の光を浴びて進化し現居住区の光環境に順応しながら生存している。その中で特筆すべきは,30億年以上の長い進化の過程で,光障害を防御する機能を獲得したことである。しかし近年の成層圏オゾンの破壊による光環境の変化は,生態系のバランスをくずし異常な事態に向かう可能性を秘めている。本書では,第1章でオゾン層破壊と地上の太陽紫外線環境を展望し,第2章では生物が進化の過程で獲得してきた紫外線障害の修復機能を,第3章では皮膚にターゲットを絞り,皮膚と光,特に紫外線が皮膚に与える損傷と防御機構について,第4章では人体をマクロにとらえ,健康にかかわる眼の光障害,光老化,光ストレスなどの今日的話題を,第5章では生物の遺伝情報が光障害とどうかかわるかをDNAの目で見る.

  [目次]

第1章 オゾン層破壊と地表の太陽紫外線………佐々木政子
第2章 生物は紫外線障害をどう修復するか
2-1 原核生物の紫外線障害と修復………中川紀子
2-2 植物の葉はなぜ日焼けしないのか?………浅田浩二
2-3 環境紫外線に対する微生物の応答とバイオセンサーとしての利用………宗像信生
第3章 皮膚の光障害と防御機構
3-1 光ではじまる皮膚障害―サンバーンとサンタン………松尾聿朗
3-2 免疫抑制の仕組み………堀尾 武
3-3 紫外線による皮膚発がん………市橋正光
第4章 健康と光障害
4-1 眼の光障害―白内障と雪目………平光忠久
4-2 皮膚の光老化はなぜ起こる―光に当たらなければ老けない………宮地良樹
4-3 光と精神機能………高橋清久・内山 真
第5章 遺伝情報をまもる
5-1 DNA損傷・修復の化学プロセスと機能………藤堂 剛
5-2 紫外線とアポトーシス………口野嘉幸

第5巻 光による医学治療
担当編集委員:三宅養三
A5判・168頁・2色刷・本体3400円

 本書は光による生体への影響,光による多くの疾患の治療,診断などの最前線をわかりやすくまとめたものである.光には可視光,紫外線,レーザー光などがあり,その各々の特色をいかした治療が臨床医学のなかで活躍している.いずれを用いた治療も手術治療に比べると生体への侵襲がすくなく,安全であるため今後ますますその適応は増すものと考えられる.光は医学診断にも重要な役割をはたしており,光が生体にこれほど貢献していることを本書からご理解いただきたい.

  [目次]
第1章 第1章 光による心の治療
1-1 光と人の概日リズム………本間研一
1-2 冬季うつ病を光で治す――光と脳内神経機能………三島和夫
第2章 光による新生児黄疸の治療………千田勝一
第3章 レーザー光治療
3-1 レーザーで近視を治す………戸田郁子・坪田一男
3-2 糖尿病網膜症のレーザー治療………岡野 正
3-3 レーザーで歯を治す………田上順次
3-4 レーザーによる"あざ"の治療………上田説子
3-5 レーザーによるがん治療………山本秀樹・加藤治文
第4章 光による医学検査
4-1 化学発光を用いた検査技術………前田昌子
4-2 光による網膜機能検査――網膜電図(ERG)………三宅養三

第6巻 光による医学診断
A5判・216頁・2色刷・定価本体3800円
3月18日発行

ちょうど100年前レントゲンによるX線の発見が非侵襲診断の道を拓いたように, “光診断”は21世紀の新しい夢の医療技術となるだろう.たとえば“光造影剤”がX線撮影でのバリウムの役割を果たしたり,“遺伝子造影剤”によって,病気に関係した遺伝子発現の画像診断などが可能となる.光診断の幕開けは近い.

[目次]

序 章 光診断法の新技術の展望……田村 守
第1章 光で身体を探る
 1−1 光と生体――生体分光学への招待……山田幸生
 1−2  光と病態――光診断法の基礎と応用……小田元樹
第2章 蛍光で生体を見る 
 2−1 神経の活動を光で追う……市川道教
 2−2 金属イオンのはたらきを光で追う……工藤佳久
 2−3 蛍光を用いた病気の診断……金子 守
第3章 近赤外光の医療への応用……星 詳子
第4章 MRI――磁場と電磁波による医療画像診断 
 4−1 MRIで脳を見る……成瀬昭二・田中忠蔵 
 4−2 MRI で身体の機能と代謝を探る……成瀬昭二・田中忠蔵
第5章 γ線で体の中を見る―PETとSPECT
5−1 PETとSPECTによる脳機能画像診断……菅野 巖
5−2 PETによる脳機能画像診断……渡辺恭良

第7巻 生命科学を拓く新しい光技術
担当編集委員:船津高志
A5判・204頁・2色刷・3600円

最近の光学顕微鏡周辺技術の進歩には目を見張るものがある。新しい顕微鏡技術、新しい機能性蛍光試薬の開発、蛍光標識技術の進歩が、生命科学研究に新しい潮流を作りつつある。本書は、その技術開発と研究の最前線で
活躍している研究者が、最先端の研究成果だけでなく、基盤となる基礎技術や原理について書き下ろした解説書。

  [目次]

第1章 光テクノロジーの基礎
1-1 色々な光の作り方………大倉一郎
1-2 微弱光を測る………石川 満
1-3 生物光学顕微鏡の基礎………上村慎治
第2章 狙った分子を光らす
2-1 タンパク質を光らす………平塚寿章
2-2 遺伝子を光らす………谷 時雄
2-3 Green Fluorescent Proteinはなぜ光るか?………宮脇淳史
第3章 限界を破る超光学顕微鏡
3-1 近接場顕微鏡………辰巳仁史
3-2 共焦点顕微鏡(立体像の構築)………平岡 泰
3-3 2光子励起蛍光顕微鏡………藤崎久雄
第4章 光による究極の操作・観察
4-1 1分子蛍光イメージング法………船津高志
4-2 ナノメーターの動きを測る………徳永万喜洋
4-3 光ピンセットによる1分子操作………楠見明弘・藤原敬宏
付 表:光技術に関連したURLリスト

第8巻 夢の光――放射光が拓く生命の神秘
担当編集委員:安岡則武・木原 裕
A5判・184頁・2色刷・3200円
放射光が脚光を浴びている.紫外線からX線にかけての強い光源として多数の放射光施設が建設され,相次いで利用に供されている.日本でも放射光利用研究の歴史は長いが,分子研の UVSOR,高エネルギー機構のPF ,そして播磨の SPring-8 と各エネルギー領域を代表する施設が登場し,この分野の研究開発は飛躍的に発展した.生物科学・生命科学の分野では,おもにX線領域が利用されているが,タンパク質の構造解析からがんの診断まで大きく広がっている.この巻では それらのさまざまな利用の状況を分かりやすく紹介し,将来への夢を語る.

  [目次]

序 章 放射光とは………植木龍夫
第1章 放射光による新しい構造生物学の展開
1-1 生体超分子システムに迫る………安岡則武・神谷信夫
1-2 放射光の特徴を生かした多波長異常分散法………田中 勲
1-3 タンパク質の動きを見る………足立伸一
1-4 吸収スペクトルからタンパク質の局所構造を探る………飯塚哲太郎
1-5 機能中のタンパク質の振る舞い………片岡幹雄
第2章 放射光による生体イメージング
2-1 X線顕微鏡でどこまで見えるか………木原 裕
2-2 X線位相コントラスト法による生体組織のイメージング………百生 敦
2-3 単色X線CT………武田 徹
第3章 医学診断と治療に活躍する放射光
3-1 マイクロビームによる生体組織診断………下條信弘・本間志乃
3-2 放射光による心臓血管造影………宇山親雄
3-3 がんの診断と治療に役立つ放射光………山崎克人

各章のアブストラクト(共立出版のホームページへ)

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